テニス肘(外側上顆炎:がいそくじょうかえん)とは、肘の外側の骨の出っ張り(外側上顆:がいそくじょうか)に付着する手首・指を伸ばす筋肉の腱(けん)が、繰り返しの動作・過使用によって傷つき生じる腱付着部の炎症・変性です。
テニスのバックハンドストロークに多いことから「テニス肘」と呼ばれますが、実際にはテニスプレーヤーは全患者の約5%にすぎず、40〜60代の中高年のデスクワーカー・主婦・調理師・大工など、日常生活での反復動作で多く発症します。上肢の腱障害で最も頻度が高い疾患の一つです。
| 関連キーワード: | 外側上顆炎、短橈側手根伸筋(ECRB)、前腕伸筋群、オーバーユース、腱変性、ステロイド注射、PRP療法、体外衝撃波、カウンターフォースブレース、スポーツ障害 |
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肘外側の骨(外側上顆)には、手首・指を伸ばす複数の筋肉(前腕伸筋群:ぜんわんしんきんぐん)が腱を介して付着しています。特に短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん:ECRB)の腱が最も傷みやすいです。
⚠️ テニス肘は橈骨神経(とうこつしんけい)後骨間枝(こうこっかんし)の絞扼や、変形性肘関節症・滑膜ひだ症候群と類似した症状を示すことがあります。症状が重い・しびれを伴う・保存療法で改善しない場合は専門医に相談してください。
外側上顆付着部にステロイドと局所麻酔薬の混合液を注射します。短期的(数週間〜数か月)の疼痛緩和に非常に効果的ですが、繰り返しの注射(年3回以上)は腱の変性・断裂リスクを高めるため注意が必要です。短期的な痛みの軽減・リハビリ参加促進を目的として使用します。
自己血液から抽出したPRPを腱付着部に注射します。成長因子による腱の炎症を抑える効果が期待でき、ステロイドより長期的な除痛効果(6〜12か月以上)が報告されています。慢性化・ステロイドが無効な難治例に特に適しています(Mishra et al. Am J Sports Med 2014)。
患部に衝撃波を照射し、組織修復促進・石灰化溶解・神経過敏の抑制を促します。慢性化した難治性テニス肘(6か月以上症状が続く場合)に保険外ながら有効性が確立されています。
前腕伸筋群・肩〜頸部の筋肉のトリガーポイントに局所麻酔薬を注射します。テニス肘に伴う前腕〜手首の放散痛の改善に有効です。
腱の状態・厚さ・石灰化を確認
ストレッチ・Tyler Twist等
ステロイド注射または超音波ガイド下注射
| 参考文献: | Coombes BK et al. JAMA 2013 / Bisset L et al. BMJ 2006 / Krogh TP et al. Am J Sports Med 2013 / Vicenzino B et al. Man Ther 2007 / 日本整形外科学会 ほか |
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ゴルフ肘(内側上顆炎:ないそくじょうかえん)とは、肘の内側の骨の出っ張り(内側上顆:ないそくじょうか)に付着する手首・指を曲げる筋肉の腱(けん)に、過度な負荷・繰り返しの動作が加わることで生じる腱付着部の炎症・微細断裂です。
ゴルフのスイング動作に多いことから「ゴルフ肘」と呼ばれますが、ゴルファーに限らず、野球・テニス(フォアハンド)・柔道・重量物の運搬・パソコン作業など、手首を繰り返し使う動作全般で起こりえます。
| 関連キーワード: | 内側上顆炎、腱付着部症、前腕屈筋群、尺側手根屈筋、円回内筋、過用症候群(オーバーユース)、トリガーポイント注射、PRP療法、ステロイド注射、スポーツ障害 |
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肘内側の骨(内側上顆)には、手首・指を曲げる複数の筋肉(前腕屈筋群:ぜんわんくっきんぐん)が腱を介して付着しています。この付着部に繰り返しの牽引力・ストレスが加わることで、微細な損傷・炎症・変性が生じます。
⚠️「鑑別が必要な疾患:肘内側の痛みには、尺骨神経障害(しゃっこつしんけいしょうがい)・肘関節尺側側副靱帯損傷・変形性肘関節症なども考えられます。しびれ・麻痺・外傷歴がある場合は早めに受診してください。
内側上顆付着部にステロイドと局所麻酔薬の混合液を注射します。強力な抗炎症作用により短期間(数週間〜数か月)の疼痛緩和効果があります。ただし繰り返しの注射は腱の変性・断裂リスクがあるため、年2〜3回までを目安とします。
前腕の屈筋群・上腕の筋肉に生じたトリガーポイント(押すと痛みが広がる硬い部分)に局所麻酔薬を注射します。筋緊張を解放し、関連痛を改善します。
患者さん自身の血液からPRP(多血小板血漿:血小板を多く含む血漿)を抽出し、患部に注射します。血小板の成長因子(TGF-β・PDGF・VEGFなど)が傷ついた腱の修復・再生を促進します。慢性化・難治例に特に有用で、ステロイドより長期的な効果が期待できます。
超音波検査で腱の状態を確認
安静・ストレッチ・サポーター指導
ステロイドまたはPRP注射
| 参考文献: | Coombes BK et al. JAMA 2013 / Krogh TP et al. Am J Sports Med 2013 / Mishra AK et al. Am J Sports Med 2014 / 日本整形外科スポーツ医学会 ほか |
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ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎:きょうさくせいけんしょうえん)とは、手首の親指側(橈骨茎状突起:とうこつけいじょうとっき)にある腱鞘(けんしょう)* が炎症・肥厚(ひこう:厚くなること)し、腱との間に摩擦・狭窄が起きる疾患です。
親指を動かすたびに手首の親指側に痛みやきしみが生じます。出産後の女性・乳幼児を抱える母親・スマートフォンの多用者・手作業の多い職業の方に多く見られます。
* 腱鞘:腱(けん:筋肉と骨をつなぐ繊維)を包むトンネル状の鞘(さや)。腱がスムーズに動くためのガイドの役割を果たします。
| 関連キーワード: | 腱鞘炎、短母指伸筋腱、長母指外転筋腱、フィンケルシュタインテスト、腱鞘内注射、ステロイド注射、腱鞘切開術、マタニティ腱鞘炎、スマホ腱鞘炎 |
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手首の親指側には、親指を広げる「長母指外転筋(ちょうぼしがいてんきん)」と、親指を伸ばす「短母指伸筋(たんぼししんきん)」の2本の腱が、共通の腱鞘の中を通っています。この腱鞘が炎症・肥厚すると、腱がスムーズに通れなくなり痛みが生じます。
親指を手のひらの中に握り込み、小指側に手首を曲げると(尺屈:しゃっくつ)、手首の親指側に強い痛みが出ます。これが陽性であれば、ドケルバン病の可能性が高いです。
腱鞘切開術(けんしょうせっかいじゅつ):外来での局所麻酔下に、肥厚した腱鞘を切開・拡張します。根本的治療で再発率は低いです。
腱鞘の中にステロイドと局所麻酔薬の混合液を注射します。腱鞘の炎症・腫れを直接抑える方法で、1〜2回の注射で約60〜80%の患者さんに有効と報告されています。外来にて数分で実施でき、即効性があります。超音波でリアルタイムに腱・腱鞘を確認しながら注射します。腱鞘の中への正確な薬液注入が可能で、盲目的注射より有効性・安全性が高いとされています(超音波ガイドの有効性:Pedro et al. J Ultrasound Med 2009)。
ステロイドが無効・繰り返し再発する場合に、PRP注射を選択します。腱鞘・腱周囲の修復・再生を促進し、長期的な改善が期待できます。
1〜2回
| 参考文献: | Huisstede BM et al. Arch Phys Med Rehabil 2010 / Ilyas AM et al. J Hand Surg 2007 / Richie CA et al. J Fam Pract 2003 / 日本手外科学会 ほか |
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手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん:CTS)とは、手首の掌側にある「手根管(しゅこんかん)*」というトンネルの中で、正中神経(せいちゅうしんけい)が圧迫されることで生じる、手・指のしびれ・痛み・感覚障害・筋力低下を特徴とする疾患です。
上肢の末梢神経障害として最も頻度が高い疾患で、有病率は一般人口の約1〜5%。特に中年女性・妊娠中・産後・閉経後の女性に多く見られます。
* 手根管:手首の手のひら側にある、骨と靱帯で囲まれたトンネル状の狭い空間。その中を9本の腱と正中神経が通っています。
| 関連キーワード: | 正中神経、末梢神経障害、手根管、手のしびれ、夜間のしびれ、親指・人差し指・中指のしびれ、ファレンテスト、チネルサイン、神経伝導速度検査、手根管内ステロイド注射、手根管開放術 |
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正中神経は親指・人差し指・中指・薬指の親指側半分の感覚と、親指の根元の筋肉(母指球筋:ぼしきゅうきん)の動きを担います。したがって、症状はこれらの指に現れます。
保存療法が無効・母指球筋萎縮が進行している場合は、手根管開放術(しゅこんかん かいほうじゅつ)を実施します。横手根靱帯(おうしゅこんじんたい)を切開し手根管を広げる手術で、局所麻酔下の日帰り手術が可能です。
超音波でリアルタイムに正中神経・腱・靱帯を確認しながら手根管内にステロイドと局所麻酔薬の混合液を注射します。腱鞘の炎症・腫れを抑え、正中神経への圧迫を軽減します。1回の注射で約60〜80%に有効で、症状が軽〜中等症であれば長期的な改善も期待できます。盲目的注射より優れた有効性が報告されています(Ustun N et al. Joint Bone Spine 2013)。
超音波ガイド下に生理食塩水・ステロイドを正中神経周囲に注入し、癒着(ゆちゃく:くっついてしまった状態)した神経と周囲組織を剥離(はくり:はがす)する手技です。神経の動きを回復させ、慢性例・術後再発例にも有効です。
神経伝導速度検査が必要な場合は連携施設へ
1〜2回
| 参考文献: | Atroshi I et al. JAMA 1999 / Huisstede BM et al. Arch Phys Med Rehabil 2010 / Padua L et al. Neurology 2010 / 日本手外科学会 手根管症候群診療ガイドライン2022 ほか |
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