肩こりは、首・肩・背中の筋肉が緊張・硬直することで生じる、こわばり・重だるさ・痛みを主体とした症状の総称です。日本人の70〜80%が経験するとされ、国民病ともいわれます(厚生労働省 国民生活基礎調査)。
多くは「疲れたら休む」で解消しますが、慢性化・重症化すると日常生活・仕事に深刻な影響を及ぼし、頭痛・不眠・うつ症状を伴うこともあります。ペインクリニックでは、慢性化・難治性の肩こりに対して専門的な診断と治療を行います。
| 関連キーワード: | 頸肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)、トリガーポイント、ストレートネック、僧帽筋、肩甲挙筋、VDT症候群、星状神経節ブロック、トリガーポイント注射、ボツリヌス毒素注射 |
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肩こりの主な原因は、首・肩・背中の筋肉(特に僧帽筋:そうぼうきん・肩甲挙筋:けんこうきょきんなど)の持続的な過緊張・血流障害・筋疲労です。
慢性化した肩こりでは、筋肉内にトリガーポイント(TP:圧痛点)が形成されます。TPを指で強く押すと「ジーン・ビリビリ」と首・肩・頭・腕へ痛みが広がる「関連痛(かんれんつう)」が特徴的です。これが筋筋膜性疼痛症候群(MPS:Myofascial Pain Syndrome)です。
⚠️ 以下の症状がある場合は、頸椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・腫瘍・血管疾患など重篤な疾患が隠れている場合があります。速やかに受診してください:腕・手指のしびれ・脱力、歩行障害、排尿障害、体重減少、夜間の激しい痛み。
肩・首・背中の筋肉(僧帽筋・肩甲挙筋・菱形筋など)に形成されたトリガーポイントに少量の局所麻酔薬を注射します。筋の過緊張・血流障害を解除し、痛みの悪循環を断ち切ります。即効性があり、外来で短時間で実施できます。週1〜2回から開始し、改善に応じて間隔を空けていきます。
首の付け根にある星状神経節への注射により、交感神経の過緊張を抑制・頸肩部の血流を改善します。慢性肩こり・自律神経の乱れを伴う場合(冷え・不眠・のぼせなど)に特に有効です。
頸椎(首の骨)周囲の神経・神経根に局所麻酔薬を注射します。頸椎由来の神経性肩こり・頸部放散痛に有効で、超音波ガイド下で安全に実施します。
僧帽筋・肩甲挙筋などに少量のボツリヌス毒素を注射し、筋肉の過緊張を3〜6か月にわたって持続的に緩和します。慢性化・繰り返す難治性肩こりに特に有効で、毎回の通院が難しい方にも適しています。
細い針をトリガーポイントに刺入し、筋の過緊張を解除する手技です。薬物を使わないため副作用が少ない方法です。
重篤疾患の除外・トリガーポイントの特定
セルフストレッチ処方・職場環境改善のアドバイス
週1〜2回
改善に応じて月1〜2回へ
| 参考文献: | Simons DG et al. Myofascial Pain and Dysfunction 1999 / 厚生労働省 国民生活基礎調査2022 / Fernández-de-Las-Peñas C et al. J Manipulative Physiol Ther 2007 / Borg-Stein J et al. Phys Med Rehabil Clin N Am 2014 / 日本ペインクリニック学会 治療指針2023 ほか |
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肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)、俗に「五十肩(ごじゅうかた)」と呼ばれる本疾患は、肩関節を包む関節包(かんせつほう)*が炎症・線維化・拘縮(こうしゅく:縮んで硬くなること)を起こすことで、肩の痛みと可動域制限(動かせる範囲の制限)が生じる疾患です。
40〜60歳代に多く発症し(「四十肩・五十肩」の呼称の由来)、有病率は一般人口の約2〜5%とされます。糖尿病患者では約10〜20%と高頻度に発症します。多くは1〜3年かけて自然軽快しますが、その間の痛み・不自由さは非常に大きく、適切な治療が重要です。
* 関節包:関節全体を包む袋状の膜。内側に関節液を産生する滑膜(かつまく)があります。
| 関連キーワード: | 癒着性肩関節包炎、関節包、拘縮肩、夜間痛、肩の可動域制限、肩関節内注射、神経ブロック、サイレントマニピュレーション(非観血的授動術)、理学療法、五十肩体操 |
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明確な原因が特定できない「特発性(とくはつせい)」が多いですが、関節包の炎症(滑膜炎)→線維化→拘縮という3段階の病態変化が起こります。
⚠️ 五十肩は自然経過で改善しますが、適切な治療なしでは1〜3年以上苦しむ場合があります。また回転筋板断裂(ローテーターカフ断裂)・石灰沈着性腱炎・頸椎疾患・腫瘍など類似疾患との鑑別が重要です。
拘縮期・回復期には積極的な運動療法が推奨されます。
肩関節の中(関節腔内)にステロイドと局所麻酔薬の混合液を直接注射します。炎症・滑膜炎を抑え、特に疼痛期(夜間痛・安静時痛)に高い効果を発揮します。超音波ガイド下で正確な位置に注射します。
肩関節の上にある「肩峰下滑液包(けんぽうかかつえきほう)」という滑らかな動きを助ける袋に薬を注射します。腕を上げる際の肩の痛み(インピンジメント症候群を伴う場合)に有効です。
肩関節の感覚を担う主要な神経「肩甲上神経(けんこうじょうしんけい)」に局所麻酔薬を注射します。肩全体の広い範囲の痛みを効果的に緩和し、理学療法・リハビリを容易にします。超音波ガイド下で安全に実施します。
首の付け根にある星状神経節への注射により、交感神経の過活動を抑制・肩周囲の血流改善を図ります。難治性の五十肩・夜間痛に有効です。
肩甲上神経ブロックや関節内麻酔薬注射で十分な鎮痛・脱力を得た後、医師が肩関節を徒手的に動かして拘縮した関節包を剥離(伸張)する手技です。重度の拘縮例に対して短時間で大幅な可動域改善が得られます。術後はリハビリを継続します。
画像検査が必要な場合は連携施設へ
| 参考文献: | Neviaser AS, Hannafin JA. Am J Sports Med 2010 / Buchbinder R et al. Cochrane Review 2003 / Favejee MM et al. Br J Sports Med 2011 / 日本整形外科学会 ほか |
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