歩き始めに股関節やお尻、太ももの付け根が痛む、足の付け根が硬く感じる——変形性股関節症は、股関節の軟骨が徐々にすり減っていく、進行性の関節の病気です。当院では、運動療法やエコーガイド下の注射・神経ブロックなど、症状の段階に合わせた治療をご提案しています。
変形性股関節症(股関節症)とは、股関節のクッションの役割をしている関節軟骨が年齢とともにすり減ったり、骨が変形(骨棘=骨の縁にできる棘状の隆起)したりすることで、股関節の痛みや動かしにくさ、歩行のしづらさが生じる病気です[文献1]。
日本人では、生まれつき股関節の受け皿(寛骨臼)が浅い「寛骨臼形成不全」を背景に発症する二次性股関節症が多く、股関節症全体のおよそ8割を占めるとされています。欧米では原因のはっきりしない一次性股関節症が中心であるのに対し、日本人特有の傾向といえます[文献2]。
わが国の住民健診を用いた調査では、レントゲン上の変化でみた股関節症の有病率は1.0〜15.7%(男性0〜18.2%、女性2.0〜14.3%)と報告されており、女性に多くみられます[文献3]。発症年齢は40〜50代が多いとされています[文献4]。
※調査対象や診断基準によって数値には幅があります。
これまでの研究で、以下のような要因が変形性股関節症の発症・進行に関連すると報告されています[文献2,5]。
変形性股関節症は進行性の病気ですが、症状の進み具合に応じて、保存療法(手術以外の治療)で痛みをやわらげながら経過をみていく方法と、進行が予想される場合に手術を検討する方法があります。日本整形外科学会・日本股関節学会の診療ガイドラインでは、患者教育(病気の理解を深めること)をはじめとした保存療法が重要な位置づけとされています[文献2]。
| 治療法 | 内容 |
|---|---|
| 運動療法・リハビリテーション | 股関節周囲の筋力訓練や可動域訓練など、保存療法の基本となる治療です。専門スタッフが状態に応じてプログラムを組みます。 |
| 生活指導 | 杖の使用、和式から洋式の生活様式への変更、体重管理など、股関節への負担を減らす工夫をご提案します。 |
| 神経ブロック注射・関節内注射 | エコー(超音波)で神経や関節の位置を確認しながら、痛みの強い時期に注射による治療を行います。 |
| 内服薬による治療 | 炎症や痛みの状態に応じて、鎮痛薬を調整します。 |
※関節内注射(ヒアルロン酸など)の効果については、研究によって結果が分かれており、ガイドライン間でも推奨の度合いに差がみられます。当院では、エビデンスの状況も含めて診察時にわかりやすくご説明したうえで治療方針を相談します。治療の効果には個人差があります。
歩き始めの痛みが何週間も続く、安静にしても改善しない、股関節の動きが悪くなってきたと感じる場合は、一度ご相談ください。早い段階で適切な保存療法を始めることで、症状の進行をゆるやかにできる可能性があります。
| 参考文献: |
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立ち上がる時や歩き始めに膝が痛む、正座や階段の上り下りがつらい——変形性膝関節症は、加齢や負荷の蓄積によって膝の軟骨が傷み、痛みや変形が進む病気です。当院では、運動療法や関節内注射、神経ブロックなど、進行度に応じた治療をご提案しています。
変形性膝関節症(膝OA)とは、膝関節の軟骨や半月板(大腿骨とすねの骨の間でクッションの役割をする軟骨組織)が、加齢や膝への負荷の蓄積によって変性し、骨の変形や関節を包む滑膜(関節の内側を覆う薄い膜)の炎症(滑膜炎)が起こる病気です[文献1]。原因がはっきりしない一次性のものがほとんどで、骨折や感染症などをきっかけに起こる二次性のものもあります。
日本整形外科学会のガイドラインによると、国内では約800万人が膝の痛みやこわばり・腫れなどの症状を有しており、レントゲン上の関節症変化がある方は約2500万人、40歳以上での有病率は約55%、症状のある方は約1800万人にのぼると報告されています。また、膝OAは要介護状態に移行するリスクが約6倍高いとも指摘されています[文献1]。
※調査対象や診断基準によって数値には幅があります。
ガイドラインでは、以下のような要因が膝OAの発症・進行に関連すると報告されています[文献1,2]。
軟骨そのものには痛みを感じる神経がありませんが、軟骨の変性に伴って関節を覆う滑膜に炎症(滑膜炎)が起こったり、骨の内部に骨髄病変という変化が生じたりすることが、膝の痛みに関わっていると考えられています[文献3]。また、不安や気分の落ち込みなど心理的な要因も痛みの感じ方に影響することが指摘されています[文献1]。
変形性膝関節症の治療は、患者教育・生活指導・運動療法・神経ブロック治療・薬物療法・物理療法などの保存療法が基本となり、症状や進行度に応じて手術療法が検討されます[文献1]。当院では神経ブロックを併用した保存療法を中心に、状態に合わせた治療をご提案しています。
| 治療法 | 内容 |
|---|---|
| 運動療法・リハビリテーション | 大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)の強化など、ガイドラインで保存療法の基本とされる治療です。 |
| 生活指導・体重管理 | 膝への負担を減らす生活上の工夫や、体重管理についてご相談します。 |
| 関節内注射 | ヒアルロン酸関節内注射は、変形性膝関節症のガイドラインで「有用である」とされています(推奨度2、エビデンスの強さB)[文献1]。エコーガイド下で正確に行います。 |
| 神経ブロック注射 | 膝周囲の知覚神経をエコーで確認しながらブロックし、痛みの緩和を目指します。 |
※関節内注射(ヒアルロン酸など)の効果については、研究によって結果が分かれており、ガイドライン間でも推奨の度合いに差がみられます。当院では、エビデンスの状況も含めて診察時にわかりやすくご説明したうえで治療方針を相談します。治療の効果には個人差があります。
立ち上がりの痛みや正座のつらさなど、初期症状の段階でのご相談をおすすめします。早期から運動療法や生活指導に取り組むことで、症状の進行をゆるやかにできる可能性があります。
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原因がはっきりしない膝の痛みでもお気軽にご相談ください。